第6章

小児科病棟で働き始めて三日目、ある緊急事態がすべてを変えた。

午前十時、けたたましいアラームが病棟に鳴り響いた。六歳の健太が突然呼吸困難に陥り、顔が真っ青になっている。

真っ先に駆けつけたのは私だった。重度の喘息発作の兆候だと判断し、医師の到着を待たなかった。すぐに酸素マスクを要請し、健太が呼吸しやすい体勢になるよう導いた。

「深呼吸して、坊や。私に合わせて……」私は彼のバイタルを素早く確認しながら、優しく声をかけた。

三分後、和也が駆け込んできた。健太が安定しているのを見て、彼の目には驚きがよぎった。

「何をしたんだ?」信じられないといった声で彼が尋ねる。

「いえ……...

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